【旅】元・男子禁制の祭祀跡とフィッシュサンドと猫【斎場御嶽・奥武島】

二日目。
旅は今日からが本番。
チェックアウトし、まずは那覇バスターミナル(以降BT)のある旭橋へ。
沖縄観光はレンタカーが一番効率よく回れるが、今回は離島を含むためバスとフェリーを主な交通手段としている。
もしグループならタクシー、免許があるならレンタカーもおすすめ。
 
 

那覇バスターミナル

那覇BTは、ゆいレール旭橋に隣接していてとても便利だ。
ゆったりした待合室には椅子・テーブルと電源完備、横には大きなファミリーマート。
沖縄をバスで巡る計画であれば、間違いなく旭橋駅が旅のベースになる。

朝食はその那覇BT横にあるカフェOKINAWA PORTALへ入ってみることに。
(※2022年6月末で閉店)
朝8:00から夜の24:00まで、モーニング、ランチ、夜は手軽なバーと使い勝手のいいメニュー。
外貨の両替や手荷物預かりなども対応している。

広いテーブルには電源もあり、タブレットやノートPCなども余裕で開ける。
ハムチーズトースト350円、セットのアイス・カフェオレが150円。

旭橋に少し早めに着いて、出発前にBT付近でゆったり朝食をとりたい時に向いているお店だと思う。
那覇BTに関してはこちらの記事が参考になったので、感謝をこめてリンク。
他にも沖縄ローカル情報が満載で、読み応え抜群。

 
 

斎場御嶽へ

BTからバスに乗り込み向かったのは斎場御嶽(せーふぁうたき)
東陽バス338番 斎場御嶽線 斎場御嶽入口で下車。

まずはバスを下りたところにある南城市地域物産館で入場券を購入する。
窓口にも案内が出ているが、ここから斎場御嶽まで徒歩で移動があり、中もそれなりに広いため、最低でも一時間は見積もっておいた方がいい。
写真を撮ったり、展示などもじっくり見たい場合は一時間半くらい。
道そのものは案内の方が立っているので迷うことはない。

斎場御嶽入り口に着くと、まずは映像によるガイダンス。
その後は自由に散策となるが、有料でガイドをお願いすることも出来る。

敷地内はこのような石作りの道が多く、ヒールの場合は靴を借りることになるので、斎場御嶽に行く場合は予めスニーカーなどを履いておこう。
(もし今回の旅を参考にするつもりの方はトレッキングシューズを強くおすすめする。詳しいことは旅記事の一番最後で)

斎場御嶽というのは15~16世紀の琉球王国・尚真王時代の祭祀史跡である。
「せーふぁ」は「最高」の意味であり、その名の通り国の最高神職である聞得大君(きこえおおぎみ)が管理していた。
琉球神道における神女(ノロ)の最高位である。
聞得大君は国王と王国全土を霊的に守護するものとされ、基本的には王族の女性が就くことになる。
「御嶽」とは神社のようなもので、森の中など自然の恵み深い場所に作られた。
聞得大君就任の儀式は御新下り(うぁーらうり)と呼ばれ、首里での儀礼、幾つかの要所を巡った後にこの斎場御嶽に入り、聖水を額につける「御水撫で(うびぃなで)」で霊的な力を得たとされている。
ここはそのような神事を行い、琉球王国を陰ながら護った聖地なのだ。
現在は観光地として一般公開されているが、昔は当然ながら男子禁制。
建物の修繕などでどうしても男性が立ち入る必要が生じた時は、服の合わせを逆にして(女合わせにして)入ったという。

登っていくと、遥拝所がある。

向こうに見えているのが久高島(くだかじま)で、琉球開闢の女神アマミキヨが降り立った聖なる島とされている。

明日はこの久高島に向かうので、詳細はその時にまた触れることにする。
 
 
これは大庫理(ウフグーイ)という祈りの場。
首里城正殿の二階も大庫理と呼ばれており、同じ名を持つ。
ここでは先に触れた聞得大君就任の儀式である「御水撫で(うびぃなで)」が行われた。


 
 
この窪みは水たまりでも池でもなく、第二次世界大戦中にアメリカ軍が砲撃した艦砲穴。
厳かな地に、戦争の残骸が幾つも残されている。


 
 
この二本の鍾乳石はそれぞれシキヨダユル・アマダユルと呼ばれ、滴り落ちる聖水により、吉凶を占ったという。


 
 
この岩を抜けたところが三庫理(サングーイ)。

御嶽の最も奥まった場所であり、琉球王国の安泰を願い埋めたとされる勾玉などが見つかっている。


 
 

帰路にある坂を下っていくと、ウローカーがある。
ここは琉球王国時代、斎場御嶽へ入る前に禊ぎをした場所なのだという。


 
 
これは太平洋戦争の砲台跡。

入り口近くの艦砲穴などもそうだが、これだけの祭祀の地でありながらも戦争の一翼を担う場になったという事実に、歴史の惨さを感じる。
不勉強で御嶽の祭祀跡のことしか知らずに来たので、また違った側面を学ぶことが出来て良かったと思っている。
 
 
御嶽入り口から最初の物産館までは緩やかな坂になっており、参道として飲食店や土産物店などが並んでいる。

移動の時間に少し余裕があったのでマンゴー園経営のJYO GOOカフェにてマンゴーかき氷とアイスコーヒー。
ちなみに11月下旬で気温は24度くらい。
冷たく濃厚なマンゴーが最高に美味しい暑さだった。

斎場御嶽の入場券を販売している物産館の裏庭からの眺め。

物産館横には資料室が併設されており、このように斎場御嶽から発掘されたものも並んでいる。

儀式などもイラストで分かりやすく説明されており非常に面白いので、時間に余裕を持たせて是非こちらも見ることをおすすめする。
 
 

おでかけなんじい

今回の沖縄旅行で私を大いに助けてくれたもの。
それが南城市乗り合いタクシー「おでかけなんじい」である。
沖縄は中心部を離れるとバスの本数がぐっと少なくなり、一人だとタクシー代も馬鹿にならない。
このおでかけなんじいは予約しておくと南城市内であれば何処でも500円で運んでくれるもので、今回の旅程はこれがなければ叶わなかった。
運転手さんはタクシー乗務員登録をされている方で、平日午後のせいか乗客は私だけという貸し切り状態の中、斎場御嶽の詳しいお話を沢山伺えて勉強になった。
観光客でも一ヶ月前から予約可能で、代金は前払い式。
500円を用意して到着を待とう。
ただし車両は五人乗りで地元の方の利用もあるので、大人数の場合は一般のタクシーがよいとは思う。
 
 

奥武島

斎場御嶽から向かったのは同じ南城市にある奥武島(おうじま)。
まずは少し遅めの昼食をと、鮮魚店やベーグル屋さんなどが入る「いまいゆ市場」へ。

好きなお刺身で海鮮丼を注文出来たりもするのだが「魚屋さんのフィッシュサンドとイカスミ汁」に惹かれて購入。

温めてもらい、外のテーブルへ。
ふっくら肉厚な白身が挟まったサンドと具沢山の汁を、海を見ながらのんびり食べる。

のんびり───そうのんびり。
この時はまだ気付かなかったのだ。
『彼等』の熱い眼差しに。
やっぱりお刺身も食べたい、オリオンビールも飲んじゃえ、ということで追加。
ミーバイ、マクブ、アカマチという沖縄三大高級魚セット。

醤油用のアルミ小皿までつけてくれるサービスぶりで、私は再び外のデーブルに陣取った。
そんな浮かれた私を待っていたものは───

猫。
ねこである。
そう、この奥武島は猫様が沢山お住まいになられているのである。
見ると全員が桜耳だった。

ちなみにこの距離でも飛びかかって食べたりはしない。
ただただ、じっと熱い眼差しを送ってくる。
可愛い、可愛いが、刺身を食べる身としては一秒たりとも気が抜けない。

その後は腹ごなしに島内ぐるっと徒歩で一周。
時々寄ってくる猫と遊びながら、海沿いを歩いてゆく。

こちらが、奥武島の方が大事にされている奥武観音様だ。
その謂われがとてもおおらかで、非常に気に入ってしまった。
17~18世紀の頃、この奥武島に一隻の唐船が漂着した。
その乗組員達曰く見知らぬこの島への上陸を躊躇っていたところ、島の山の上に白衣の美しい女が現れて手招いたのだという。
かくして、船員達は無事に助け出された。
そしてそのお礼に、後日、唐から琉球王朝を通して島へ金の観音像が贈られた。
戦争によりで観音像も建物も消失してしまったものの戦後にお堂は再建され、現在では陶製の観音像が安置されている。
ご覧のように鳥居が立っていて、更にこの島には御嶽もある。

神様、仏様、そしてニライカナイの神様が仲良く島を護っているなんて素敵ではないか。
ちなみに興味に抗えず、宿の方に「お葬式はどのようにするのですか?」と尋ねてみたところ「ごちゃ混ぜよ」と笑顔で返ってきた。
沖縄の墓所は以前に宮古・西表島でも興味深い話を伺っていて、いずれちゃんと学ぶつもりなのでまた楽しみが増えた。

丁度曇ってしまった時で海の色が惜しいのだけれど、竜宮神の岩。

沖縄は台風が多いため、家の形もそれに耐え得るものとなる。
どっしりとして出っ張りの少ない形が基本なのだと思うが、散歩していると窓やベランダに素敵な意匠が組み込まれていることに気付いた。
どれも格好いい。

そして忘れてはならないのが石敢當(いしがんとう)。
マジムンという魔物を退けるためのもので、至るところにこういった石標が嵌め込まれている。
「マジムンに股をくぐられると死ぬ」という言い伝えがあるのだ。

いまいゆ市場の反対側くらいに、大城てんぷらがある。

注文を書いて渡すと、あつあつの揚げたてが紙袋に入って出てくる。
どれも1個80円。

てんぷらというかフリッターに近い食感で、何もつけずにそのまま食べられる。
お店の庭にはベンチが沢山あるので、青い海を眺めながら、揚げたての天ぷらを頬張る時間も楽しい。
ただしどれもボリューム満点の大きさなので、おやつなら一つで充分。
このアーサのてんぷら、掌サイズなのだ。
私は欲張って色々買ってしまい、その日の夕食にした。

少し陽が翳り始めた海の、この透明感よ。

猫に囲まれて、日没を待つ。

 
 

ゲストハウス・りゅうかく

今夜お世話になるのはゲストハウス・りゅうかく
個人経営のお宿では珍しく室内にお手洗いとシャワールームがある。
インテリアも可愛い。

おじいとおばあ(ブログでこう自己紹介されているので、私もそう呼ぶ)が素晴らしくいい方で、連泊したいくらいだった。
そして朝食が奇跡的で感動的だったので、明日を楽しみにしていて下さい。

三日目の久高島編へ続く。

[ 【旅】元・男子禁制の祭祀跡とフィッシュサンドと猫【斎場御嶽・... ]TRIP, , , 2020/06/04 23:53