【旅】ひめゆりの塔と居酒屋らう次郎【沖縄】

五日目。
今日は旭橋の那覇BTから出発。
時刻表的に少し慌ただしいので、ホテル下のローソンにて沖縄限定コンビニメニュー。

ポーク玉子の「ポーク」はスパムのこと。
沖縄では、おにぎりだけでなく炒め物や味噌汁など色々な料理に入っている。
ずっと前に初めてポーク玉子おにぎりを食べてから私の中で強烈に「南の味」として刻まれており、沖縄にくると絶対に食べなければいけない気持ちになる。
スパム自体は大きなスーパーでも手に入るので作ろうと思えば作れるが、それとは別に「現地で食べたい味」なのだ。

私が特に好きなのがこの油みそ入り。
甘じょっぱい味噌とスパム、卵焼きに海苔、定食のおかずを全部盛りしたこの感じがたまらない。
 
 

ひめゆりの塔

那覇BTから糸満BT、そこからまた乗り換えて向かったのはひめゆりの塔
沖縄本島を独りで訪れる機会があったら、絶対にここにこようと決めていた。
「戦争」というものを女子学生の立場で体験したひめゆりの女学生達。
彼女達が残したものを、自分の目で確かめたかったのだ。
私は基本的に楽しい旅記事を心掛けているけれど、この場所に関しては「楽しさ」は一切ない。
戦争に関する凄惨な表現が含まれるため、読むと重い気持ちになるかも知れない。
そういったものが苦手な方は、遠慮無く読み飛ばしていただきたい。
だが私なりに彼女達のことを伝えたいと思ったので、慎重に綴っていく。

バスを下りるとすぐ目の前に献花用の花束が売られている。
赤紫のハイビスカス入りが一番綺麗に見えたのでそれを選ぶと、売店のおばあさんがまるで祈るように「有難う」と仰った。

花束を携えて慰霊碑に向かって歩いてゆくと、資料館の中から女子高生と思しき二人組が号泣しながら出てきた。
そういう場所にきたのだ、と身が引き締まる思いがした。
花を供え手を合わせ、中に入る。

第二次世界大戦末期、沖縄に米軍が上陸した。
過酷な戦況の中、沖縄師範学校女子部・沖縄県立第一高等女学校の女子生徒達が沖縄陸軍病院に動員された。
この平和祈念資料館では、彼女達の遺品や当時の状況などを詳しく知ることが出来る。
基本的に内部は撮影禁止となっているため、以下は文章のみでお送りする。

「学校で習ったことは嘘でした。先生方は兵隊さん達は天皇万歳と言いながら死ぬのだと仰ったのに、ここにいる方々はみんなお母様の名を呼びながら死んでゆくのです」
彼女達は看護の手伝い・軽作業と説明されてやってきたが、現実は余りにも惨いものだった。
傷病者が増え過ぎてベッドなどとうに足りず、ガマという洞窟の中に兵士達を横たえるだけ。
ここで昨日のガンガラーの谷の風景を思い出して欲しい。
地理的・地質的には近い。
つまりああいった自然の洞窟が「野戦病院」だったのだ。
「楽に死ねるということで、青酸カリは人気でした」
「兵隊さんが手榴弾を持っているというので、自決出来ると思い一緒に行くことにしました」
「目の前で親友のみっちゃんが撃たれました。私の肩に倒れて死にました」
生き残った女子生徒達───今は老いた彼女達が語るそれは余りにも凄絶だ。
遺品には可愛らしい裁縫道具や手鏡もある。
「私の仕事は兵隊さんの傷にわいた蛆を箸でとることでした」
小学校低学年くらいの男の子がパパに「うじってなーに」と無邪気に尋ねていて、深淵を覗くような質問だなと思った。
蛆は蠅の幼虫で、腐肉や動物の糞などに発生する。
私は田舎の山育ちで農業、狩猟が身近な家に育ち、蛆も身近な存在であったが、今の日本の一般的な住環境ではなかなかお目にかかれないだろう。
蛆がわくような不衛生な場所に近付くことがなければ、その目で見ることはないものだ。
見ても恐らく自慢にはならないし、見たことがなくても生きていける。
なら、その存在を知らなくていいのだろうか。
ちなみにパパも回答に困っていた。
世の中には色々なものが溢れていて、気付かずに通り過ぎるものもあるだろうし、自分から目を背けるものもある。
勝手に目に入るものもあるし、自分から手を伸ばさなければ届かないものもある。
人には知る権利も、知らないでいる権利もある。
どちらが間違いということはない。
ひめゆりの彼女達の事実は重く惨く、辛い気持ちにはなったけれど、知ることが出来て良かった。
号泣しながら出てきた彼女達のことを思い出した。
 
 

Cafeブリーガーデン

ひめゆりの塔平和祈念資料館を出たのはお昼過ぎ。
次は琉球ガラス村へ向かうつもりなので、道すがらにあるCafeブリーガーデンで遅めのランチをとることにした。

おまかせランチはサラダ、前菜の盛り合わせ、メイン、お手製デザートにドリンクバーがついて1300円。
どれも美味しくて、ひめゆりの塔近くのランチをお探しの方は是非。
 
 

そして琉球ガラス村に着いた……のだけれど、ここでこの旅唯一の失敗。

こちらではガラス吹きなどが体験出来るので、申し込む気満々であった。
当日予約以外受け付けていないため、一抹の不安はあったのだが。
案の定二時間半待ちとなっており、バスの時刻の都合上、諦めることに。
車移動向きの観光ポイントではあるが、素敵なガラスが沢山あるのでお好きな方は立ち寄ってみては如何だろうか。


 
 
ひめゆりの塔へのアクセスに関しては、個人的に
「那覇BT→糸満BT→ひめゆりの塔」
という乗り換えがおすすめなので、バス移動を検討している方は覚えておいて欲しい。
アプリなどで検索すると乗り換え候補として
①糸満バスターミナル
②糸満ロータリー
③糸満市場入り口
などが挙がり、どれも間違いではない。
間違いではないのだが、それ故に不慣れな者は少し迷いやすい。
那覇BTからバスでひめゆりの塔に向かう観光客はそれなりにいるものの、みんなこの辺りで運転手さんに聞いたり、迷ったりしていた。
かくいう私も一度不安になって尋ねた。
那覇BTから糸満BTまでは比較的バスの本数が多いが、糸満BTからひめゆり方面は数時間に一本となるため、時刻表をしっかり調べて旅程を組もう。
尚、上記の乗り換えは2019年11月のダイヤに基づいているため旅行の際は最新情報を必ず確認されたし。
 
 
糸満から無事に旭橋のBTに戻り、今夜の宿である個室ホステル美らキャビン国際通り店へ。

まさに国際通りど真ん中、松尾交差点を少し入ったところにある。
ドアを開けると、このようにどーんとベッドがある。

他はテレビ、エアコンのみでフロア内に共用のシャワールーム、化粧室がある。
建物の上層が女性専用フロアになっており、鍵はオートロック。

カプセルと違い部屋が独立していてエアコンが効くし、プライバシーは最低限確保出来る。
ここもアメニティはないが、お値段が3000円前後からと個室にしては格安。
セール時だと1900円くらいになっていたりする。
国際通りは飲食店にも困らないので、「シャワーを浴びて寝るだけでいい」と割り切れる方には非常に使い勝手のいい宿だと思う。

今回はツアーではなく全部自分で宿を予約することになるので、那覇の中心部では毎回違ったところに泊まろうと考え、色々探してみた。
私はドミが余り得意ではなくて「狭くてもいいのでとにかく個室」「移動しやすい」が最優先。
リゾートホテルは大好きなのだけれども、旅程的にただ寝るだけになってしまうし、バスターミナルや駅には可能な限り近い方がいい。
お洒落度ではラナイホステル、ビジネス的快適度ではKARIYUSHI、安さと立地ではこの美らキャビンだと思う。
ちなみにドミOKであれば女性専用フロアで2000円を切るところもある。
最初に書いたように離島を入れるとパックツアーでは難しいので、LCCかレガシーキャリアの早割などで安めの航空券を手配し、こういったホステル系を探せば比較的旅費も抑えられる。
ドミ・ホステル系は一泊がお安めで連泊割引のある宿も多いので、もし次にまとまった休みがとれたら一週間くらい滞在してみたいと夢見ている。
 
 

らう次郎

荷物を置き、沖縄最後の夜へ。
今日ご紹介するのがらう次郎

せんべろ候補の店は幾つかあったが、最終的にここを選んだ理由は「外からお店の中が見えて感じが良さそう」だったからだ。
結果的には大正解で、大変楽しく食べて飲んだ。

これがせんべろのドリンクメニュー。
らう次郎のせんべろはドリンク3杯+おつまみ2種となっている。
1杯目はまずオリオンビールを注文。
おつまみはおひたしと肉豆腐が出てきた。

おひたしは酒が進む味付けで、肉豆腐はしっかり味が染みていてボリューム満点。
夕食も兼ねているので、単品で幾つか追加してゆく。

これがおすすめの豚こめかみ刺。
にんにく醤油でいただくと無限に酒が飲める美味しさ。

ピリ辛ガツ刺とキャベツ。

2杯目はパイクァーサーハイ。
パイナップルとシークァーサーミックスで、甘酸っぱく飲みやすい。
3杯目はコーヒー泡盛、ちなみに全てジョッキ。
食べたり飲んだりに夢中で写真はなし。

もう少し飲みたかったのでお店のおすすめというスーパーレモンハイを注文。
ジョッキに凍ったレモンがみっしりと詰められており、もうこれは約束された美味しさ。

この素晴らしい飲み物に合いそうなものをと思い、らう次郎特製手羽を。
合い過ぎてレモンハイがどんどん減ってゆく。
そんな私の目に留まったのは「ナカあります」。
皆さんには再び、人生に役立たない知識を覚えてもらう。
「ホッピーのナカとソト」というように、要するにグラスを変えずにお酒やソーダなどを注ぎ足すことだ。
この場合はジョッキの中に凍ったレモンがまたたっぷり残っているため、中のお酒のみ足す。

おつまみも美味しくお店の人も優しく、もう無限ナカが出来そうな勢いだったけれど、荷物の整理などもしたかったのでナカ二回でやめておいた。

最後に居酒屋なジャンク感たっぷりのポテトサラダで〆。
 
 
せんべろは1回のみというお店が多いが、らう次郎では何度でも注文可能。
私がいる間に3回頼んでいる方もいた。
それだけでもう約束された9杯、猛者の称号を贈りたい。
初日の記事で書いた女性の一人せんべろのおすすめがここである。

①店の外から中が見えて雰囲気、混雑具合が分かる
(一見でドアを開けて入って満員だといたたまれないので)
②カウンター席、立ち飲み席、テーブル席と充実しており、混雑を気にせず自分のペースで飲める
(カウンターはみんな一人のお客様で、夕食兼酒、という飲み方だった)
③女性の従業員さんがちょっとしたタイミングで声をかけてくれる
(ほんの一言二言だが、つかず離れずな感じで個人的には好きな距離感)

というのが理由なので、心惹かれた方は是非。

22時くらいの国際通り。

帰り際、今日も沖縄限定アイスを買って宿へ。
明日は最終日、波上宮編へ。

[ 【旅】ひめゆりの塔と居酒屋らう次郎【沖縄】 ]TRIP, , , 2020/06/07 18:30