三日目。
周遊バスで会津若松駅まで出て、そこからレンタサイクルの受付場所である会津町方伝承館まで徒歩で移動。
「今日は暑くなるから気をつけてね」と送り出していただいた。
會津壱番館
昨日で大体の街の通りは把握したので、自転車で再び會津壱番館へ。
三日目のモーニングはこちらでいただく。
手作りケーキも美味しそうで心惹かれたのだが、私が回りたいお店でモーニングを食べられるのはここだけ。
今回、行きたいお店が沢山あり過ぎて、昨日も触れたように素泊まり作戦に出たのだった。
この他にも古いレジスターがあったりして素敵な店内だったので、次こそはゆっくりとケーキを食べたい。
朝食後、灼熱の陽射しの中を飯盛山までペダルを漕ぐ。
会津若松駅からは通りを真っ直ぐ上ってゆくだけなので道に迷う心配はない。
飯盛山とさざえ堂
山の下の休憩所に自転車を停め、立ち並ぶ土産物店を抜けると、文明の利器が堂々と出迎えてくれる。
250円で、山頂までコンベアで運んでくれるのだ。
決して登れない段数ではないが、とにかく暑い日だったので最終日に体調を崩しては元も子もないと乗ることにした。
文明とは素晴らしい。
登りきった先には、白虎隊の碑や十九士の墓、会津藩殉難烈婦の碑があり、線香を手向けることが出来る。
昨日の鶴ヶ城での展示を思い出しながら、火をともした。
そこから少し下ると、さざえ堂がある。
正式名称は旧正宗寺・円通三匝堂(えんつうさんそうどう)。
この名は独特の構造に由来する。
さざえ堂は六角形三層、二重螺旋型の通路で、昇降する者が行き合わないという不思議な造りだ。
螺旋構造の建物に観音様を並べ、道内を巡るだけで巡礼が叶うという三匝堂は各地に残っているが、二重螺旋という独特の造りは非常に珍しいとのこと。
外観はもちろん、中も素晴らしくいい……!
ファンタジーの世界に建っていても違和感がない、何よりこんな造りを思いつくなんて凄い。
今後、何かでこの螺旋型の塔が登場したらモデルはこちらだと思って欲しい。
下山のための階段に向かうと、こんな涼しげな光景が広がっていた。
私は夏の、この濃い緑と落ちる影が大好きだ。
空高く広がる入道雲、かき氷の幟もいい。
普段は日中、絶対に外に出ないと心に決めているくらいなのに、陽射しが強くなってくると、まだ見ぬ夏を追い求めてふらふらと旅に出てしまう。
そんな暑さの中で食べるかき氷の美味しさといったら。
ここ近年の夏は猛烈な暑さなので、夏旅がおすすめとは言いにくい。
でも真夏の旅、いいですよ。
これは戸の口堰洞穴。
元は灌漑用の洞穴だったものだが、戊辰戦争の際に白虎隊が飯盛山に向かう際、ここを抜けたという。
ちなみに現在でも農業用水などに利用されている。
この帰り道、下山ルートと書いたがもちろん上りにもなる。
実は自転車を借りる時に「旧道の方が水も流れていて涼しいから、そっちを使うといいわよ」と教えていただいのだが、その入り口が見つけられず文明の利器のお世話になったのだ。
土産物店の横道から入ることが出来るので、これを読んだ方は参考にしてくれると嬉しい。
fruits peaks
飯盛山から駅方面に戻りがてら、fruits peaksへ。
桃のパフェがお目当てだったのだが、丁度お昼時でランチセットも美味しそうだったので食事もとることにした。
こちらがそのまるごと桃のパフェ。
グラスの中はバニラアイス、桃のシャーベット、ブルーベリーやゼリー。
暑い中、山から降りてきた身体に染み渡る瑞々しい甘さだった。
ここからまた七日町方面に戻り、建物を撮ったりお土産を買ったり。
こちらは大正3年竣工の白木屋漆器店。
外観も素晴らしいが、中に資料館が併設されていることを知らず、後から大後悔。
次こそ。
三枚目は、窓のガラスの色使いに一目惚れした空き物件。
一体何の建物だったのだろうと、帰宅してから調べてみたところレオ氏郷南蛮館だったことが判明。
ただ震災で閉館してしまったらしい。
ありし日の姿はこちらのブログに掲載されているので、憧れをこめてリンクしておく。
桃里道
そして今回の会津旅行、最後の甘味は桃里道(とおりみち)の白玉あんみつ。
お手製の黒蜜をたっぷりとかけていただく。
店内には民芸品なども飾られていて、優しい雰囲気。
店主と思われる方も穏やかで、食事や会津の酒蔵の飲み比べセットなどもあり、とても居心地が良いお店だった。
この後、自転車を返却して会津若松駅へ。
楽しい旅はいつもあっという間だ。
会津でお世話になった方々も、みんないい人ばかりだった。
「も」だ。
これまでの旅で出会った方々もいい人ばかりで、素敵な思い出となっている。
今回の旅では言葉を交わした皆さんからは「自分が生まれ育った地への愛情」が強く伝わってきて、それがとてもよかった。
街歩きの最中に味しそうなお店も沢山見つけたので、違う季節にまた訪れたい。
交通手段に関して
今回、私が利用したのはこちらのゆったり会津 東武フリーパス。
東京方面から会津若松に向かう場合、一番最初に浮かぶのは郡山まで新幹線で出て、そこから磐越西線に乗り換えるルートだろう。
この東武ルートは、浅草発、北千住~鬼怒川経由の特急ルート。
最初にご紹介したリバティ会津という特急列車が浅草~会津田島を一日四往復、その終点・会津田島には和泉屋旅館がある。
そこにリバティの特急券が片道2110×2=4220円、トータルで一万円強となる。
参考までに東京~会津若松の新幹線+JR運賃は片道の正規料金が8760円。
東京~郡山までの新幹線が約一時間20分、浅草~会津田島までリバティで約三時間。
会津若松~七日町は徒歩圏内、レンタサイクルやバスも充実しているので、そのエリアのみ観光する場合は新幹線ルートの方が楽かなとは思う。
JRには二日間有効の会津ぐるっとカードというフリーパスがあり、こちらはバスも入っている。
(電車のフリーエリアは猪苗代から)
記事内でも何度か触れたがこの周遊バスは便利で、30分単位で運行していて主な観光施設を巡る。
中も会津木綿で可愛い。
だがしかし。
バス移動のみだと、幾つもの通りをのんびり歩いて好みの旧い建物を探すということは難しい。
個人的にはバスと徒歩、半々くらいの使い方があちこち楽しめる気がする。
少し長めの休みがとれて数日滞在出来るのなら、和泉屋旅館の宿泊を検討するのなら、途中下車も楽しみながらのリバティ会津での東武ルートも是非、ご検討を。
社内はこのような感じで、コンセントも有り。
東武ルートは、浅草駅が始発となる。
私は常磐線住まいなので北千住スタートだったが、あのレトロ感たっぷりの素敵な駅舎から旅を始めるのも素敵だ。
(※運賃・フリーパスのエリアなどは2019年8月のものです)
Fly Me to The Moon
最初に書いたように一番の目的は和泉屋旅館だった。
のだが、旅程を練っている最中に、そうだ! あの羊羹を売っている長門屋さんが会津だ! と思い出し、お店に立ち寄ってみた。
(もったいなくてまだ包丁を入れられずにいるので、公式サイトから写真をお借りします)
三日月が満月に、そしてその月に向かって鳥が羽ばたいてゆく。
この世に美しいお菓子も羊羹も沢山あるけれど、察して欲しい。
名前がジャズナンバーというのもロマンチックだ。
でも、会津はとてもいいところだったので観光がてらに是非、お店へ。
私は七日町店の方に立ち寄ったが、他にも可愛いお菓子が色々あり、どれをお土産にするか楽しく悩んだ。