四日目の朝は、少し早めに起きて日の出を見に行った。
誰もいない浜でぼんやり空を眺めていると、少しずつ色が変わってゆく。
「海の色」「空の色」「朝焼けの色」「夕焼けの色」という言葉があるけれど、本当はこんな多様な色もない気がする。
場所、時間、天候などにより一つとして同じ色にならないのだから、「海の色」「空の色」とあっさり表現してしまうのは書き手の怠慢かも知れない。
でも、「海の色」と書いてあれば、読んだ方の記憶の引き出しから「それぞれの色」が浮かぶはずで、百人いたら百通りの海の色があるはず。
それもまた素敵ではないかと思ったりもしている。
朝食を食べて、宿を出る。
港近くで自分用土産に満月の海の塩といらぶーちんすこうを購入。
今度は満月に来たい。
フェリーに乗り込み、昨日の安座真港へ。
そこでまた予約済みのおでかけなんじいに乗り込み、向かったのはガンガラーの谷。
ガンガラーの谷
ここは、数十万年前までは鍾乳洞だった場所が崩れて出来た森で、ガイドと共に敷地内をゆっくり歩くツアーとなっている。
所要時間は一時間半程だが、受付点呼があるので少し早めに着いた方がいい。
人気ツアーで平日でも埋まりやすいので、旅程が決まったらサイトで予約しておくと安心。
待合場所は洞窟カフェになっていて、何処とは申しませんがモデルはここです。
海が見えるのも素敵ですよね。
話を伺いながら、緑の中をどんどん歩いていく。
ここは種之子御嶽(サニヌシーウタキ)と呼ばれる洞窟地帯で、イナグ(女)洞には「母神」。
下層のため写真撮影は難しいが、女性の乳房や、臀部に似た形の鍾乳石が幾つもある。
カンテラをお借りして、次はイキガ(男)洞へ入ってゆく。
暗くて撮影に失敗してしまったが、この奥に「父神」の巨大な男根型の鍾乳石がある。
「ガジュマルは歩く」という言い伝えも納得出来る根の張り方。
幹から出た気根がこのように地上に根付き、どんどん太くなってゆくのだ。
木々が茂っていて少し分かりにくいが、左右の切り立った崖の高さが同じ。
ここがはるか昔は大きな洞窟で天井があり、その天井が崩落してこのような形になったということらしい。
上部分の大きな石は、何と落石だそう。
動かないと分かっていても、通り抜ける時に少し怖い。
ツアーの最後は遺跡。
発掘調査が少しずつ進められており、土器片や、石棺に入った遺骨などが発見されている。
ガンガラーの谷がある沖縄南部はその地質により自然に出来た洞窟が多い。
この「洞窟」の風景を、心の隅に留めておいて欲しい。
意味は明日の記事で分かる。
玉泉洞
ガンガラーの谷のツアーのゴールは、敷地の反対側にあるおきなわワールド。ここにある玉泉洞は全長は5000メートル、国内最大級の鍾乳洞で見応えがある。
ここの鍾乳石は珊瑚を主成分とした琉球石灰岩で出来ていて、沖縄の温暖な気候や雨などにより微生物も活発化し、他の地域のものより成長速度がかなり速いのだそう。
通路もこのような感じで、ふと「文明が滅んだ後にもこの鍾乳石は生き続けてこの洞窟を覆い尽くすのかな」などと考えてしまった。
これを見て、ガンガラーの谷の「母神」「父神」を思い出した。
生殖器を祀る神社は日本に数多くあるが、率直な感想として「彫刻ではないのによくこんな形になるものだな」と思ったのだ。
これを見ると、乳房や男性器の形になってゆく過程がうっすら想像出来るではないか。
私の中で鍾乳洞はこういうイメージだったため、また一つ勉強になった。
南都酒造所
洞窟を出たあとはおきなわワールド内の南都酒造所にて地ビールセット。
鍾乳洞の地下100メートルから組み上げている水はカルシウムやミネラルが豊富で、それでビールを仕込んでいるそうだ。
結論からいうとどれも非常に美味しい!
私がもたもた撮っているうちに泡が減ってしまったが。
個人的にはケルシュが一番好みで、爽やかでフルーティー。
ブラックエールは黒にしては軽めの飲み口で、どんどんいけてしまう。
他もそれぞれに違った味わいなので、ビール好きな方は立ち寄ってみて欲しい。
KARIYUSHI LCH Izumizaki 県庁前
玉泉洞の前からバスに乗り、再び那覇BTまで。
無事にここまで戻ってきたことに安堵はあるものの、奥武島や久高島が既に恋しい。
この日の宿泊はKARIYUSHI LCH Izumizaki 県庁前。
カプセルでなく個室にシャワーとトイレ、洗面台、ロフトに布団という珍しい造りに惹かれて予約したが、立地的にも那覇BTのある旭橋から徒歩数分、建物の一階はローソンという素晴らしいロケーション。
値段も手頃で早割などもあり、カプセルやドミよりもう少し個室感が欲しいという方には強くおすすめ。
沖縄に取材等で再訪することになったら、私もまたここに泊まると思う。
ただしこの安さは「一切アメニティがない」ことに由来しており、歯ブラシやシャンプー・リンス、ボディソープ、部屋着などは持参する必要がある。
バスタオル、ハンドタオルのみ用意されており、ロビーにこのようなアメニティ自販機がある。
もちろんローソンでも揃うので、お好みで。
私は今回、離島巡りがメインだったので必然的にそういったアメニティを自分で持ち歩く必要があり、苦にはならなかったけれど、安価なビジネスホテルのつもりで利用すると結果的に購入コストがかさみ、満足度は低いかも知れない。
それでも、弾丸旅行のベースとしてはやはり好立地と好価格なので、そういった点を理解した上での予約であればスムーズに宿泊出来ると思う。
アボカドチーズバーガーとケラマブルー
沖縄といえばステーキとハンバーガー。
国際通りには沢山の店が並んでいるが、ネットで調べて美味しそうだったZooton’sへ。
食べる前から絶対美味しいと確信出来るビジュアル。
旨味がぎゅっとつまった分厚いパテと溢れそうなアボカド、甘いトマトにチーズ。
こんなにボリューミーなのにしつこい感じは全くなくて、ぺろりと食べてしまった。
あわせたのは「ケラマブルー」という泡盛とシークァーサーのカクテル。
慶良間の海も素敵な色だが、この夜は奥武島と久高島の青を思い浮かべながら飲んだ。
夜の沖縄県庁。
沖縄限定アイスも色々あって楽しい。
この夜のおやつは紅芋タルトアイス。
五日目のひめゆりの塔編に続く。