〆切明けであった。
「今月のもの全て書き上がったら博物館へ行こう」と決めていた。
第一候補は松濤美術館の「装いの力―異性装の日本史」だったのだけれど、大田区郷土博物館で開催中の「大勾玉展」の情報が飛び込んできた。
こちらの方が早く終了してしまうし、かねてより行ってみたかった温泉も近くにある。
ちょっとした都内日帰り旅の気分で、まずは大田区郷土博物館のある西馬込に向かった。
都内に出ると大体は昼くらいになるので、まずはwineshop & cafe île de collineへ。
ランチセットは前菜とスープ、メイン、ドリンクの組み合わせ。
運ばれてきた盛り合わせがどれもお酒の進みそうなメニューだったので、グラスワインもつけてみた。
〆切明けの、秋晴れの、金木犀が淡く香る昼下がりのテラス席で、きりりと冷えた白。
一番端のジェラートに見えるものはポテトサラダで、ビーツが入っているためこんな鮮やかなピンクなのだそう。
カナッペは枝豆とクリームチーズに、ピンクペッパー。
スープはさつま芋と麹で、柔らかな甘味。
メインはパスタにして、鶏肉の自家製サルシッチャとマッシュルームのカチョエペペ。
ワインにこだわりのあるお店だけあって、どれもお酒にあう。
デザートも食べてみたくなって、追加でオーダー。
幾つも種類があって迷ったけれど、「洋梨とキャラメル」という組み合わせが好きなのでパウンドケーキを。
期待どおりに何から何まで美味しい。
お店の方の対応も最初から最後までずっとフレンドリーかつ丁寧で、とても好きな雰囲気のお店。
大満足して今日の用事は終わったような気分になったものの、むしろこれからが本番。
大田区郷土博物館の「大勾玉展」へ向かった。
ゆっくり展示を楽しんだ後は、京急蒲田へ。
皆様は蒲田の「黒湯」をご存知だろうか。
蒲田は以前に海であった場所で、その時代に堆積した海藻や貝殻が時を経てフミン物質に変化、それが溶け出したお湯が真っ黒、という理由なのだ。
黒湯は何軒かあるけれど、今回は蒲田温泉へ。
京急蒲田駅から徒歩10分、この真っ赤な看板が目印。
以前はサウナまで無料だったそうだが、2022年10月現在の料金は500円で、サウナは別途300円。
バスタオル、タオル、使い切りのボディソープとリンスインシャンプーがついた「手ぶらセット」は750円。
(ボディソープとリンスインシャンプーは浴場内にも置かれている)
スキンケア系と、ボディタオルは持参しよう。
ドライヤーは有料。
お湯は黒い。
想像以上に黒い。
ブラックコーヒーのような色を想像していただければ間違いない。
重曹泉なので湯上がりはつるつるの美肌の湯。
しかも薪焚き(廃材を使っているらしい)のためお湯が柔らかく、よく温まる。
こんなお湯が銭湯価格で楽しめるなんて、どうしてもっと早くこなかったのだろう。
蒲田温泉のもう一つの魅力は「釜飯」だ。
「蒲田温泉」で検索すると「釜飯」がサジェストされるので「何故に……?」と思っていたところ、先代が新潟とご縁があり、お米にこだわって始めたそう。
銭湯の二階がこのような食堂になっていて、カラオケも可能。
メニューを見るとあんみつやかき氷まで!
注文を受けてから炊き始めるので、まずは生レモンサワーと牛すじの煮込みから。
〆切明けの、黒湯に浸かった後の火照った身体に染み入る生レモン。
牛すじもとろとろに煮込まれている。
30分くらいで釜飯が到着。
蓋を開ければ湯気と美味しそうな香りが立ち上る。
釜飯に限らず、炊きあがったご飯をしゃもじで混ぜていると幸せな気分にならないだろうか。
鶏肉もたっぷり入っていて大満足。
ただし一合あるので、茶碗にすると二~三杯。
お腹を空かせていこう。
釜飯は1人1オーダー的な注意はなかったと思うので、二人以上ならシェアでいいかも知れない。
また、蒲田温泉は年中無休だが二階は毎週水曜日が定休となっているため釜飯狙いの場合は注意。
真っ黒なお湯と釜飯を堪能して出てくる頃には、もう陽が落ちていた。
温泉に入りたいけど旅行まではちょっと難しいという方も多いのではないだろうか。
そんな時には是非この蒲田温泉を検討してみて欲しい。
私が次に訪れた時は、湯上がりにかき氷を食べようと決めている。