【旅】鶴ヶ城と末廣酒造【七日町】

明けて二日目。
朝食は野菜たっぷりな小鉢がずらりと。
粕汁愛好家なので、鮭を酒粕で煮たものが嬉しい。

木綿豆腐の上にのっているのは山椒味噌。
そういえば厚揚げに柚子味噌を塗ったものをよく作る割には、冷奴に味噌系は試したことがなかったなという新たな気付きが。
目玉焼きに何をかけるか、卵焼きは甘いかしょっぱいか、冷奴の薬味に何をのせるか、などなど、育った環境でいつの間にか継承されていたりするのが面白いなと思う。

和泉屋は建物の中も素晴らしいが、玄関の豆タイルの色合いも可愛い。
やはり豆タイルはよいものだ。

チェックアウトした後も、名残り惜しくてついつい話してしまった。
会津若松の方はものすごく暑いから気をつけて、と何度も心配していただき、申し訳なくもあり、その気遣いが嬉しくもあり。

お勘定場の可愛い蛙達は、季節に合わせて衣装が変わるという。
裃を着た写真なども見せていただいたのだが、男前だった。

旅館から駅まではすぐ。
少し余裕を持って出たので昨日とはまた違う道を歩いていると、色合いが好みな蓋を見つけた。

ご当地マンホールの蓋も楽しそうなので、これからも見つけたら撮ってみよう。
 
 
会津田島駅からこちらに乗り、今日は七日町を目指す。

一本で行けるのだが、せっかくのフリーパスなので途中の湯野上温泉駅で降りて足湯に浸かってみることに。
 
 

湯野上温泉

こちらの駅は日本全国で二箇所しかないという茅葺屋根の駅舎。

そしてそのすぐ横に、源泉かけ流しの足湯がある。
次の電車は約一時間後。
駅舎周辺を軽く散歩し、一休みするには丁度いい時間だ。
湯の温度はかなり熱めだが(夏なので冷めにくいのもあると思う)少し浸かっていると足からほぐれてゆくのがわかる。
このあたりは涼しいせいかまだ紫陽花が咲いていて、青紫の花を眺めながら真夏の足湯を楽しんだ。

駅舎の中には囲炉裏もあり、その横には漫画本のつまった本棚も。

夏なので流石に火はなかったものの、冬の雪降る日に立ち寄って足湯に浸かり、囲炉裏に手をかざしたら、そのあたたかさが沁みるに違いない。
私は今回、会津田島・七日町~会津若松を中心に組んだが、こちらの湯野上温泉では日帰り入浴を受け付けているところもあるし、沿線には奇岩で有名な塔のへつりなどもあるので、そういった周り方も楽しそうだ。
 
 
再び会津鉄道に乗り込み、七日町駅で下車。
この辺りは藩政時代に大きな街道が通り、城下町として栄えたことから旧い建物が多く残っている。
 
 

満田屋

本日の昼食は有名な満田屋で味噌田楽コースをいただく。

・こんにゃく(甘味噌、柚子味噌)
・豆腐生揚げ(山椒味噌)
・お餅(甘味噌)
・しんごろう餅(じゅうねん味噌)
・里いも(甘味噌)
・身欠にしん(山椒味噌)

カウンターに座ると、これらを一本一本焼いていくところが間近で見られる。
「次は生揚げが焼き上がりました」という感じでどんどん運ばれてくるのだが、生揚げやお餅はふっくらと、身欠にしんは脂がのり、味噌尽くしでも全く食べ飽きない。
お酒はお猪口で、辛口や濁りなどが選べる。
この日は会津中将。
きりりと冷えたお酒とこんがり焼けた味噌など、合わないわけがない。
大満足で店を出た。
 
 
満田屋から、街並みを眺めつつ鶴ヶ城まで歩くことにする。
こちらは會津壱番館

野口英世が手術を受けた旧会陽医院の建物で、一階が喫茶店、二階が資料室となっている。
喫茶店には明日のモーニングでお邪魔する予定なので、本日は外観のみ。
 
 

モンジュー

會津壱番館の斜向いにモンジューという美味しそうなジェラートのお店があったので、入ってみた。

メニューを覗くと、柘榴ヨーグルトなるものがある。
柘榴を愛する者として、これは絶対に食べなければ。
ダブルで、もう一つを生キャラメルに。

しっかり柘榴の味がし、ヨーグルトの酸味もあり大変に好みの味。
キャラメルの方も甘さとほろ苦さが丁度いい。
店内に、子どもたちからのお礼のメッセージが沢山貼ってあったので不思議に思っていたところ、修学旅行などで立ち寄ることが多いらしい。
旅先でみんなと食べるものは記憶に残るよね、と微笑ましくなった。

少し涼んでからまた歩き出すと、壁の優雅なレリーフが目を引く旧医院が。
昨日の会津田島の医院といい、このあたりは旧い医院が数多く残っているのが素晴らしい。

続いては会津若松市役所本庁舎。
昭和12年築のものが今も現役で活躍しているのが凄い。
ネットでライトアップされた夜間の写真も見たが、そちらもノスタルジックで美しかった。

 
 

鶴ヶ城

うだるような暑さの中を歩いてゆくと、鶴ヶ城に到着だ。

ジェラートを食べた後だというのに売店の「氷」の幟に吸い寄せられ、気付くと桜ミルクのかき氷が目の前にあった。
全て暑さのせい。

鶴ヶ城は様々な歴史を経て一度解体されており、現在の本丸、天守閣などは復元されたものだ。
内部は若松城天守閣郷土博物館として歴代藩主の紹介や戊辰戦争、白虎隊などの遺品を数多く展示しており、また色々と考える機会となった。

戊辰戦争の際、老若男女が抵抗したということは知識としてあったものの、いざ城の博物館で武器を握る女性達の絵姿を見た時には、何ともいたたまれない気持ちに。
そしてそのような抵抗の中、自害した女性達も多い。
今の時代なら自害なんて駄目! と言えるが、あの当時に足手まといにならないように、敵に蹂躙されないように、と自ら死を選択するという状況は理解出来る。
また、白虎隊の少年達はまだ家督を継ぐ前の者達が大半であったため、父や兄から小型の刀を借り受けたという。
立派な刀の横に、そんな小ぶりのものが並べられている様子は、若くして散った命の重みを突きつけられている感じがした。

真面目なことを書いてしまったが、天守閣からはこのような絶景が待っているので興味が湧いた方は足を運んでみて欲しい。


 
 

末廣酒造

鶴ヶ城前からまちなか周遊バスに乗り、本日最後の目的地・末廣酒造へ。

こちらでは30分刻み・予約なしで見学を受け付けている。
酒造りの昔の道具や建物、由緒ある品などの紹介が主なので、お酒は嗜まないという方でも楽しめると思う。

この高い高い吹き抜けの美しさ。
少し翳り始めた午後の陽射しが映えて、まるで旧い映画の中にいるような色合いだ。
吹き抜けは、何故こうも高まるのか……。

見学の後は是非、蔵を改造した併設のカフェへ。

このように目移りするメニューなのだが、仕込み水を使ったコーヒーと、大吟醸を使ったシフォンケーキを頼んでみた。

酒枡に! 入っている!
酒呑みにとっては心憎いビジュアル。
中の氷もコーヒーで作られていて味が薄くならず、クッキーと生クリームもつくので、ウィンナ・コーヒー的にも楽しめる。

しっとりとしたシフォンケーキにはアングレーズソース。
落ち着いた雰囲気の中、暫しの涼を楽しんだ。
 
 
ここから荷物を引き取るために再び徒歩で七日町駅に戻る。
 
 

七日町駅の駅カフェ

このレトロな駅舎は比較的最近建てられたものらしいが、街並みにとてもよく似合う。

そんな駅舎にはカフェが併設されていて、会津の名産品も色々取り扱っている。
私は人気No1という滝の湯の石鹸を購入。

温泉地ではよくこういった温泉を使った石鹸が売られているので、見つけたら買うのも旅の楽しみの一つ。
ちなみに今まで一番肌に合ったのは四万温泉のもの。
(余りにも良かったので、その後に四万温泉に向かう知人に買いだめを頼んだくらい)
これも使うのが楽しみだ。

バスを待つ間にミニサイズのパウンドケーキとクッキー+飲み物のまち歩きセット。
こちらも水出しコーヒーで、会津塗の器に会津木綿のコースターが可愛い。
七日町は素敵なカフェや喫茶店が幾つもあるが、こちらの駅カフェはまさに駅に降り立ってすぐ。
そのままここで一休みしながら、散策マップを広げるのもよさげ。
 
 

東山温泉 ゆっくらイン

そんな七日町駅前からまた周遊バスに乗り、東山温泉へ。
温泉地はその性質上、どうしても市街から離れてしまうところが多い。
東山温泉は周遊バスのルートに組み込まれているため、アクセスが便利。
その東山温泉で宿泊したのはゆっくらイン
こちらは好みが分かれる宿だと思うが、泊まってみた結果、私としてはシンプルで使いやすかった。

今回の旅は当初、和泉屋だけの一泊二日のつもりだった。
ところがいざ調べ始めると行きたいところが多過ぎて、とても一日では回りきれない。
フリーパスも四日間有効なので、会津でもう一泊することに決めた。
私が温泉に泊まる時は夕・朝食込みで予約することが殆どなのだけれど、会津では一軒でも多くのお店に立ち寄りたかったこと、初の土地で予定通りに動けるかという不安もあり、素泊まりで探してみた。

ゆっくらインは庄助の宿瀧の湯の系列で、そちらのお風呂を利用することが出来る。
それが、それこそが個人的に一番のおすすめポイントだ。
部屋はワンルームマンションを改装したものらしく、新しめでコンパクトにまとまっており、ビジネスホテルに近い印象。
一般的なアメニティ、浴衣や下駄までちゃんとある。
ただ私が泊まった部屋はユニットバスが少し古かったので、そういう部分で評価が下がってしまうこともあるかも知れない。
だからこその本館でのお風呂だ。
本館までは100メートルくらい歩くけれど、滝の飛沫が見えるくらい近い、渓流沿いの露天風呂。
昼間は緑が美しいし、ライトアップされた夜も良かった。
それで素泊まり4000円。
全額前払いで、チェックアウトは鍵をポストインするタイプなのも気楽でいい。
(ゆっくらインの建物内にも男女別の浴室があるのだが、私は本館のお風呂を堪能していたため、入らずじまいだった)

最近、色々な温泉地で、このような「本館の広くて豪華なお風呂や食事処が使える価格安めな離れ」が増えてきた印象がある。
食事付きで、ゆっくりと贅沢な気分を味わうのはいいものだ。
でも、食事は外でご当地グルメを食べたい、夜はもう寝るだけでいい、だけど露天風呂には浸かりたい、そんな感じで手軽に旅したい派には使い勝手のいいタイプの宿だと思う。
とにかく本館のお風呂には絶対に入って下さい。

三日目、会津若松編へ続く。

[ 【旅】鶴ヶ城と末廣酒造【七日町】 ]TRIP, , , 2019/08/11 22:28