【旅】キャラバンサライ・カッパドキア・ギョレメ【トルコ6】

キャラバンサライ

六日目、コンヤを出てから近くに現存しているキャラバンサライ(の遺跡)に立ち寄る。
「キャラバンサライ」とはシルクロードの隊商宿を指す。
トルコには幾つものキャラバンサライ跡があるものの、既に崩れているところも多く、ここが最も保存状態が良いらしい。
ちなみに建造は1228年とのこと。

頑強な門と高い塀に囲まれ、扉もかなり分厚い。
当時のシルクロードは大量の金や、それに該当する品々が行き交っていた。
それらを盗賊から守るために、そして長旅の休憩所として、幾つもの隊商宿が造られたのだ。

門を入るとすぐに、この祈りの塔が目に飛び込んでくる。
小さいながらも壁や窓にも美しい模様が刻まれていて、シルクロードに憧れる身としては「辿り着いた」というような感慨深さがあり、ひたすら見入った。

中にはこの他、取引所、倉庫、厩、隊商の商人達の宿泊施設などがあったらしい。
様々な国からの様々な物資が取引され、金貨が唸り、行商人達が酒を酌み交わす姿をが目に浮かぶ。

塀を内側から見たところ。
この階段を登り、上から見張ったのだろうか、とまた物語を想像してしまった。


 
 

トルコ絨毯

キャラバンサライを出た後、トルコ絨毯のショップに立ち寄った。

図案を見ているだけで気が遠くなりそうだが、緻密なものだと二年くらいかけて織り上げると伺った。
トルコ絨毯にもランクがあり、最上品がシルク。
この方が織ってるのはそのシルクで、その余りの細かさに眼が恐ろしく疲れるため(結果的に眼が早く悪くなり、貴重な織り子さんを失ってしまうため)1日の作業時間は3~4時間と決められている。
どれだけ細かいかというと、最高級品と言われるヘレケのシルク絨毯は1センチ平方メートルの中に100以上、平均120くらいの結び目があるらしい。
実はこの横で教わりながら3つほど結んできたが、私が1個結ぶ間に織り子さんは10個結ぶ。
「眼にもとまらぬ早さ」レベルである。
トルコ絨毯の大きな特徴が「ダブルノット」という織り方で、色糸を1回結ぶ時に縦糸2本とりで結ぶのだが、それだけ丈夫で、それだけ手間がかかるのだ。
(ちなみにヘレケは地名で、名産地の称号のようなもの)


 
 

カッパドキア

トルコ絨毯ショップから更にバスを走らせ、遂に奇岩地帯カッパドキアへ。
この奇妙な岩の形は、柔らかい火山灰の地層に硬い地層が堆積した後、更に長年の風雨で柔らかい部分が浸食されて硬い部分だけが残ったものだ。
それ故に現在も少しずつ少しずつ形も変え続けており、残念ながら崩れたりしている場所もある。
カッパドキアという地名は「美しい馬の地」を意味している。

これが有名なラクダ岩。
人と比べると、いかに広大なのかがお分かりいただけると思う。

昨日のパムッカレもそうだが、これらは全て自然が作り上げた光景だ。
私がトルコを好きな理由として、ハレムやアヤソフィアのような人の手による美しさと、自然による美しさ・不思議さが混在していることが挙げられる。
旅をしながら、毎日全く違った光景に出会うことが出来るのだ。

アイスクリームの屋台なのだが、日本語の看板にひかれ食べてみた。
日本でもトルコアイスとして「のびるアイス」が有名だが、あの独特の粘りはサレップという蘭科の植物の根由来のものだ。

 
 

ギョレメ野外博物館

この岩窟の内部は教会になっている。
「ギョレメ」という言葉の意味は「見てはならない」。
ここは4世紀頃、ローマ帝国の迫害を受けた敬虔なキリスト教徒達が隠れ住んだ場所なのだが、その後、今度はイスラム教徒の侵略者達から逃れるためにまた身を隠すことになってしまう。

ここでは幾つかの教会の中に入ることが出来るが、基本的に内部は総て撮影禁止となっている。
現存している教会や壁のフレスコ画は大体11~12世紀の頃のもので、日光を遮る岩の内側のせいか、この時代のものとしてはかなり鮮明に絵が残っている。
マリア様の処女受胎からキリストの最期の日までの物語、キリスト教を認可したコンスタンティヌス帝の肖像。
更には聖ゲオルギウスの蛇退治の絵などもあった。

この教会のフレスコ画は装飾のためではなく、文字を読むことが出来なかった当時の信者のために、図解説明をかねて細かく聖書の物語を壁に描き、宗教の心を伝えたものと伺った。
昨日のインジェ・ミナレではコーランが刻まれていると書いたが、あれはイスラム教が偶像崇拝を禁止していたため、文字により残されたのだ。
こういったところでも、二つの宗教の違いをはっきりと感じることが出来る。


 
 

ギョレメの駐車場に、黄金色に光り輝くゴージャスな壺らしきものが並んでいたので立ち寄ってみる。

「HOT SALEP ORCHIDS」とあるが、のびるアイスの原料ともなるサレップは実はこうしてドリンクにもなる。
露店で売られているものの他、スーパーなどには粉末の小袋も売られている。
日本の葛湯のような感覚に親近感が湧いて飲んでみたが、とろりと甘い。
バニラミルキー的なものを想像いただければ間違いない。

そしてその横ではやはり、柘榴とオレンジのジュースを売っていた。


 
 
最後に立ち寄った土産物屋の庭。
淡いピンクはカッパドキアの夕暮れの色である。


 
 

この夜は憧れの洞窟ホテルに宿泊した。
カッパドキアはこのような石造りの洞窟ホテルが幾つもあり、かねてから一度は泊まってみたいと思っていたので夢が叶った。

ベッドカバーの刺繍も凝っていて大変可愛らしい。
同行の部屋も覗いたが、部屋ごと、ベッドごとに刺繍が違い、半月くらいかけて全ての部屋に泊まりたいくらいだった。

 
 

今日の猫と犬

キャラバンサライにて。

七日目カッパドキアの気球編に続く。

[ 【旅】キャラバンサライ・カッパドキア・ギョレメ【トルコ6】 ]TRIP, 2019/04/12 22:25