【旅】下風呂温泉・坪田旅館【青森】

※この記事は旧ブログからの再掲となります。情報は2017年12月のものです※

翌日はすっかり雪もやみ、晴れ渡ったいいお天気でした。
新むつ旅館さん外観。
昨夜着いた時には雪が降っていて外観をよく見られなかったのですが、朝陽の中の建物も素晴らしい……!

左右に格子がありますが、先代さん(お義母さん)はこの向こうの部屋をそれぞれ「上見世」「下見世」と呼んでいたそう。
「でも最後の頃は2~3人しかお抱えがいなかったらしいから、それで上とか下とか分けてもねぇ」と笑っておられましたが。
旅館の目の前の道路は広く、真っ直ぐに伸びた道で、当時はこの両脇に沢山の遊郭があったのだな、と華やかなりし夜を偲ばせます。

すっかり気に入ってしまった新むつ旅館を後にして、徒歩で陸奥湊駅へ。
今日の朝食はこれ!!

陸奥湊の有名店『みなと食堂』さんの平目の漬丼とせんべい汁のセットです!!
小ぶりに見えますが、肉厚の、甘みのきいたにんにく醤油にしっかり漬け込まれた平目がぎっしり!
この卵がまた美味しくて、絡めて口に運ぶとそれもまた美味しい。
せんべい汁も癖になる歯応えです。

お店の中はこんな感じです。

そしてこの陸奥湊から八戸、八戸から青い森鉄道で北上して下北へ、そこから更にバスを乗り継ぎ、到着したのはこちら。

【下風呂温泉】

どれくらい北かというとここ。

本州で最も北の温泉となります。

八戸まで行って一泊で戻るのも寂しいので、もう一泊しようと考えまして。
大鰐や浅虫が候補だったのですが、ふと風間浦(下風呂温泉のあるところ)のアンコウ祭りの記事が目に飛び込んできまして。
北の果ての温泉も興味があったので、こちらに決めました。

今回お世話になるのは『坪田旅館』さん。
料理の評判が良かったこと、一人でも宿泊可ということで決めました。
まずはお風呂……なのですが、流石の源泉掛け流し!
もう湯気が凄くて全く撮れなかったので浴室の写真はなしで。
そんな坪田旅館さんの横には公衆浴場がありまして、お風呂梯子してきました。

【下風呂温泉 公衆浴場】

こちらの浴場の冷蔵庫に『海峡塩サイダー』なる可愛い瓶のサイダーがあったので飲んでみましたよ。

ほんのり塩がきいていて、熱いお湯の後に飲むのは最高の味。
(カメラを持ち込まなかったので、こちらのブログから写真をお借りしました)

熱いお風呂のあとは、お待ちかねの夕食です!
もう、もう総てが美味しかったのですが特にこのアンコウの共和えと、最後のアンコウ鍋が悪魔的に美味しかったです。

ちなみに奥のガラス蓋の中で焼かれてるのは鮑でございます。
これだけで終わらず、どんどん運ばれてきます。

これはアンコウの唐揚げと、津軽海峡の鮪。

「このところ時化だったので、大間の鮪が間に合わなくて、津軽海峡の鮪で……」と申し訳なさそうに出して下さったのですが、いやいやいやいやもう津軽で充分過ぎるくらい美味しいです。
(地図にあるように、下風呂のある風間浦の横が大間)
確かに大間の鮪と言えば毎年の新春初競りで目玉が飛び出るような金額がついていてネタ的に興味はありますが、もうもう本当にこれでも私などにもったいないくらい美味しい、流石の旬、脂がのっていて甘くてとろける。
揚げたてのアンコウの唐揚げも、噛む度に旨味が溢れる感じです。

でも個人的真打ちはこのアンコウ鍋……!

味噌仕立てのスープで煮込まれた肝の素晴らしさよ。
卑しくて申し訳ありませんが、余りにも美味しくてスープを肴に飲めます。
とにかくどの品もお酒が進む味で、飲み助は絶対に坪田旅館さんに行くべき。
「美味しい」にも色々ジャンルというか方向性があると思うのですが、坪田旅館さんの味はとにかくお酒によく合う。
こうして書いているとまたあの味が恋しくなります。

翌朝の朝食はこんな感じ。

貝焼きはこれ、卵でとじている最中なんですよ。
この他にヨーグルトとコーヒーがつきます。

チェックアウトして、雪が凍った道を踏み締めながら下風呂温泉入り口へ。
この写真は朝早くてまだ少し暗く映っているのですが、今回はお天気に恵まれた旅で、毎朝素晴らしい雪景色を見ることが出来ました。

奥に見えている対岸が、もう北海道です。
こんなに近いと思わなくて驚いていたら、バス停で一緒になった地元の方が「大間に行くともっと近く見えるよ」と教えて下さいました。
大間……鮪……。
しかし冬の旬の魚の美味しさはもう格別ですね。
私は暖かい方へ旅する方が好き人でしたが、この旅行ですっかり冬旅に目覚めました。
それくらい今回の青森は良い思い出しかなくて、新むつ旅館さんも坪田旅館さんも本当によくしていただいて、また行きたいです。
というか今すぐ行きたい。

この優しい貼り紙が私の心に刻まれました。
「日常」「普通」という言葉がありますが、本当は「日常」ってその人によって違いますよね。
私は海から遠く雪の少ない山で生まれ育ったので、波の音も雪の色も「非日常」です。
夜の海に降る雪など目にしようものならその美しさと恐ろしさに詩の一篇でも綴りたくなりますが、それが日常である人もいる。
あちこち旅していると、そんな土地、人それぞれの「日常」にいつも刺激を受けます。

下風呂温泉、アンコウの美味しさについて熱く語りましたが、泉質の良さも改めて記しておきます。
まだまだ数少ないながら(記事にしていない分なども含めて)今まで幾つか入った中で一番、肌質に合いました。
さらっとしたお湯、とろっとしたお湯、ぬるめのお湯、熱めのお湯、どれもよろしいのですが、とにかく私好みの芯まで温まるぎゅっと熱いお湯、ということで熱烈に推しておきます。
しかも泉質が本当に素晴らしい上に坪田旅館さんは24時間入浴可能で、何度も入ってしまいました。

美味しい料理と濃厚な源泉、と私好みの素晴らしい下風呂温泉。
興味を持たれた方は、是非この北の果ての温泉に足を運んでみて下さい。

最後は本州最北JR駅、快晴の下北駅です。

[ 【旅】下風呂温泉・坪田旅館【青森】 ]TRIP, , , , 2019/01/31 22:15