遂に2019夏の青春18きっぷも最終回。
前回書いたように、18きっぷの残り2回は鹿島神宮と真鶴。
鹿島神宮はすぐに決まったものの、実は残り一箇所は非常に迷った。
勝沼と熱海が最終候補だったが、ふと、その少し手前の真鶴では一度も下りたことがなかったことに気付く。
少し調べてみると、かなり興味を惹かれる場所と、欲しいものが見つかった。
そんな流れで、真鶴編だ。
真鶴観光に一番必要なものは何か。
私は迷わず答えるだろう、『レンタサイクル』であると。
バスが出てはいるものの本数が多いとは言えず、半島の先まで徒歩で行くのはかなり厳しい。
実のところ、現地に赴くまでは「レンタサイクルは借りられたらでいいや」くらいに考えていた。
時間の節約になれば、くらいの考えだった。
結論。
レンタサイクルを借りよう。
あけび屋珈琲
最初に向かったのはあけび屋珈琲。
こちらの名物ブラックカレーに興味が湧き、食べてみたくなったのだ。
確かに黒い。
恐らく、私が今まで食べたカレーの中で一番黒い。
一体どんな味がするのだろうと、小さく口に運ぶ。
最初に感じるのは濃厚な果物の甘みだ。
それに続いてスパイスの辛みが広がり、気付くとあっという間に食べてしまっていた。
黒胡麻、黒胡椒、マンゴー、バナナがベースとメニューにあるが、これは確かに病みつきになる美味しさ。
冷たいアイスコーヒーにも合う。
カレーがお好きな方は、一度足を運んでみて欲しい。
あけび屋珈琲を出て、港に向かう。
真鶴は坂が急で、もうこの時点で電動レンタサイクルが神様のように有り難い。
もう一度書いておく、レンタサイクルを借りるのだ。
鴎とかっぱえびせん
港に遊覧船が停まっていたので、乗ってみることにした。
切符売り場には、かっぱえびせんの小袋が餌として売られており、先日の鹿島神宮の鹿が可愛かったのもあり、興味が湧いて購入。
船が動き出すと、船員さんが近くの箱からパンの耳をがっしと掴み、海に放る。
するとそれ目がけて、沢山の海鳥が集まってくる。
まさにヒッチコックの『鳥』である。
(もちろん、あんなふうに襲わないけれど)
船員さんを真似てえびせんを空に放ると、まっしぐらに飛来してきて、ひょいっと嘴で掴んでまた飛び去る。
もう名人芸的ですらある。
投げたい、でも撮りたい、で肝心の鳥が少ない写真になってしまったが、雰囲気は伝わると思う。
船は半島の先、三ツ石に近付いてゆく。
流れていた音声ガイドによると「真鶴」という名は、この辺りを空から見ると鶴が羽根を広げたように見えることからついたという。
引き潮の時には歩けるらしいので、次はこの海の道を渡ってみたい。
貴船神社
遊覧船の時間は30分程度。
再び自転車に乗り、遊覧船の船着き場から少し走ったところにあるのが、貴船神社だ。
この貴船神社は、関東大震災の後、水害を避けるために高い石段の上に当時珍しい鉄筋コンクリートで造られたものらしい。
ちなみにこの石段は108段、煩悩と同じ数なので「清めの石段」と呼ばれていると説明にあった。
街と港が見下ろせる神社なんて素敵だ。
お参りを済ませ、社務所に向かう。
最初に書いた「欲しいもの」がこの貴船神社の御朱印帳である。
黒地に、赤や金、緑と色鮮やかな花火がきらきら輝いて、とても美しい。
(ちなみに実物の方が断然、色の映え方が綺麗)
今、使っている根津神社の御朱印帳がそろそろ終わるので、次はこれを使う予定だ。
貴船神社から海沿いを走っていると、琴ヶ浜に出る。
思わず飛び込みたくなるような透明度。
琴ヶ浜の先はこのような山ルートに入ってゆく。
ずっと上り坂だけれど、電動サイクルが私を助けてくれる。
そして辿り着いたのが、ケープ真鶴。
この建物に入っている遠藤貝類博物館に興味を惹かれ、来てみたかったのだ。
真鶴に生まれた遠藤晴雄氏は貝類に魅せられ、その生涯で4000種以上もの標本を収集したという。
そんな遠藤氏のコレクションが、ここに並んでいる。
平日昼間だったせいか、客は私だけ。
中には遠藤氏が丁寧に拾い集めたであろう真鶴の貝、更には世界中の様々な貝が。
色とりどりの美しい貝に、見入ってしまう。
藤の花に、桜。
この他にも杜若や、撫子の名を冠した貝もあった。
風流な名付けだなと思っていたところ、貝で作られた花もあった。
これは漂着した鯨の子の骨。
こちらは中国から流れてきたカルエボシつきのペットボトル。
何処までも途切れなく続く波は、本当に様々なものを運んでくるのだ。
ケープ真鶴の裏側からは、このように海を眺められる。
見えているのが、先刻、遊覧船で近付いた三ツ石。
あとは駅に向かってまた漕いでゆくことになるので、喫茶コーナーで一休みすることにした。
バタフライピーのアイスティーがあったので注文。
今まで「青」というとブルーハワイ、ブルーキュラソーがメインだったように思うけれど、これのお陰で自然な、甘みを伴わない青のドリンクがお手軽に可能になった。
その功績は偉大だ。
しかもレモンで紫に変化するというロマンもつく。
更には眼精疲労にも効くということで、私も大好きなハーブティーの一つ。
帰りは下り坂。
木々の切れ間からは、こんな景色を見ることが出来る。
御菓子司やない
真鶴の最後は駅近くの御菓子司やないのかき氷。
2019夏の青春18きっぷかき氷の終着駅である。
手作り蜜柑みつを頼んだところ「それが今年最後の蜜柑(みつ)なんですよ」と返ってきた。
良かった、夏に間に合った。
果実の酸味と甘みがしっかりと感じられる、爽やかな味。
「好きな氷のかき方」がある。
底にまずみつを入れて、氷をかいて、またみつをかけて、というやり方だ。
最近はデザート系も増えたし、みつを自分でかけるのも楽しい。
でもお店の方が氷をかいているところを見るのが好きなので、かいて、みつをかけて、という流れで作られたかき氷が大好きなのだ。
やないはまさにそれで、作っているところをずっと眺めてしまった。
そんなふうに丁寧にかかれた蜜柑味のかき氷は、夏の旅の最後を飾るに相応しい。
店の前のベンチで食べていたところ、ご近所らしきお客様から声をかけられ、かき氷の美味しさ談義に花が咲く。
帰り際には「気をつけて帰ってね」と見送っていただいた。
私はやはり夏の旅が好きだな、と思う。
昼前11:30くらいに真鶴駅に到着、この時点で15:40くらい。
レンタサイクルの最終返却時刻が16:00なので、完璧な計画ではなかろうか。
個人的には貝の博物館が熱烈おすすめ。
もう一つ老婆心で書いておくと、確実にレンタサイクルを使いたい場合は、予め観光案内所などに問い合わせて予約しておいた方がいい。
これにて私の夏も無事に終了。
ここまで読んで下さった皆様、どうも有難うございました。