大田区郷土博物館「大勾玉展」感想

十月に入りましたね。
道を歩いていると金木犀の香りが漂ってきて、季節の移ろいを感じます。

今日は大田区郷土博物館で開催中の「大勾玉展」の感想です。
少し前の日記で松濤美術館の「装いの力―異性装の日本史」とたばこと塩の博物館「ヴィンテージライターの世界」が楽しみと書きましたが、また別の情報がTLに流れてきましてですね。
それが今回の「大勾玉展」です。

展示は撮影禁止のため、こちらの美術展ナビの記事をご覧いただくとイメージが湧きやすいと思います。

正直な感想として「勾玉ってこんなに細かく分かれているんだ……!!」です。
会場にはみっしりと学芸員さんの愛情と熱意がつまっており、勾玉がお好きな方にはたまらない内容です。
「勾玉」と聞いて、形はなんとなく思い浮かぶという方も多いでしょう。
その「勾玉」の、時代と出現エリアによる素材や細かな形の差をまとめたのが今回の内容です。
例えば「勾玉」はそもそもどうしてあんな形になったのか。
色々と学説はあるようですが、個人的には「動物の牙を模した」が一番納得できるように思います。
現に、初期の勾玉には牙らしい鋭さがあり、先端に向かって細くなっていく形でした。
やがてそれに模様が入ったり、地域によっては厚みが出て角ばっていったり、薄くなったり、コの字型になったり、最初は希少価値が高かったために丁寧に研ぎ上げられた一点ものだったのに後期には量産され粗い仕上げになっていたり。
並んでいるのを見ると確かに違う!
あとは珍しい琥珀の勾玉などもありました。
これは千葉が琥珀の産地であったことに関係しているのだろうとか。
素材としては翡翠、瑪瑙、水晶、ガラス、木製など色々あって面白いし、美しい。
以前に沖縄の斎場御嶽を訪れた時に金属製の勾玉があり、ずっと心に残っていたのですが、今回の資料によれば勾玉が多く作られた時代のものとは、やはり少しずれがあるそう。

また、ヤマト王権が徐々に廃れ近畿や関東で勾玉の流通も少なくなった後の時代に蝦夷の墓から大量に出土している件は「(関東の有力者が集めた勾玉を彼等が入手し共に埋葬したのは)憧れもあったのかも知れない」と書かれており、キュンとしました。
私、そういうのに弱くて。

もう一つ個人的に「子持ち勾玉」に興味があってですね。
普通の勾玉と違い小さな突起がついたもので、何らかの祭祀具とは言われていますが詳細は未だ謎なんです。
展示でもやはり詳細は明らかになっていなかったものの、沢山の子持ち勾玉のパターンを見られたので良かったです。
入館すると一枚カードがもらえるので、子持ち勾玉を選びました。

大勾玉展は10/16日まで。
この展示だけでも面白いのですが、実は個人的にもう一つお目当てがあったのです。
旅記事扱いで別にまとめましたので、あわせて読んでいただけると嬉しいです。

前の日記に次の旅記事は京都と書いており、そちらを楽しみにして下さっている方には申し訳ありません。
京都編と浅草編も進めてはいますので、そのうち。

[ 大田区郷土博物館「大勾玉展」感想 ]diary, 2022/10/01 16:23