【旅】旧岩崎邸庭園と水月ホテル鴎外荘【上野】

※この記事が少し前に日記で告知したニルアド帝都散策案内其の弐となります※
其の壱はこちら。

 
 
この夏、国立科学博物館でどうしても見たい展示があった。
上野に行くなら久しぶりに「ウエノ公園」近辺を巡ってみようと思い立ち、一泊することにした。
 
 

旧岩崎邸庭園

最初に向かったのは湯島の旧岩崎邸庭園

岩崎弥太郎の長男で三菱第三代総帥・久弥氏の本邸として造られ、往時は何と敷地1万5000坪!
建物も20棟あったという。
現存しているのは洋館、和館、撞球室で平日のみ内部も撮影可能。

洋館の設計はジョサイア・コンドル氏。
何年かぶりに見ても岩崎邸の感想はやはり「豪華絢爛」である。
どれだけ手が込んでいる建物なのかを全て書いていると記事が終わらないので、入園時にもらえるリーフレットを参照のこと。
復元されたこの金唐革紙一つとっても、和紙に箔をはり、版木で模様を打ち出し、更に彩色を施すという凄まじい手間暇がかかっているのだ。
コンドル氏はこの金唐革紙が好きで、鹿鳴館などにも使ったらしい。
もしタイムリープ出来たら絶対に行きたい鹿鳴館。

敷き詰められたタイルはミントン製。

この岩崎邸を最初に見たのはもうずっと前のことだ。
当時から洋館は好きだったものの今とは少し眺め方が違っていて、「憧れ」の方が強かったように思う。
その後にトルコを訪れて文化のクロスオーバー的なものにどっぷりのめり込み、憧れよりも「その時代そこに生きて暮らしていた人々への興味」の方が勝るようになってきた。

更にニルアドという作品で上野、否ウエノエリアに愛着が湧いたというのがざっくりとした流れである。
もちろん今は歴史についてばっちりです、などとはとてもとても言えない。
あれを知ればこれも的にどんどん調べることが増えて、知れば知るほど自分の浅学が嫌になる。
それでも、あれとこれがそう繋がるのか、という楽しみ方が出来るようになったのも取材やロケハンのお陰なので、これからも仕事として趣味として色々な場所を訪ねたいと夢見ている。
洋館やレトロ物件はそれぞれに違った魅力があり、優劣はつけられない。
しかし岩崎邸は私の中でやはり「潤沢な富」の象徴なのだ。
ちなみにこの岩崎邸が建てられたのは1896年、同年に久弥氏は男爵の称号を得ている。
 
 
和館の一部は現在、お抹茶席として解放されているので、時間があったら是非一休みしていって欲しい。

メニューが小岩井農場、流石というべきか。
(明治時代に弥太郎の弟である岩崎弥之助、日本鉄道会社副社長の小野義眞、鉄道庁長官の井上勝が共同出資し、三名の頭文字をとって「小岩井」と命名されたのが小岩井農場の始まり)
しかしここはやはり夏だけの限定メニュー、ミルク宇治金時であろう。

旧岩崎邸庭園はコロナの影響で当面の間、オンライン整理券での予約制となっている。
必ずこちらの予約フォームで希望日時の選択をしてから行こう。
整理券予約時は無料、実際に訪れた時に入園料400円を支払う形。
 
 
岩崎邸を出た後は上野公園の不忍池を少し歩いてみる。
私はこの不忍池の、夏の青々とした風景がとても好きだ。

蓮の花の見頃は七月末くらいなので今年は見られないだろうと考えていたところ、まだあちこちに薄いピンク色の花が見えて、夏に間に合った気がした。
 
 

谷中ビストロ サンセリテ

そこから根津に向かい、昼食はサンセリテで。
谷中となっているけれど千駄木駅と根津駅の中間くらいに位置しているお店。

ランチはオードブル・メイン・デザートを一種ずつ選ぶプリフィクススタイルのAコース1980円と、オードブル盛り合わせ、魚料理、肉料理、デザート盛り合わせのBコース2960円の二種。
どちらもパンとドリンクつき。
更に+330円でスープも追加可能。

ボリューム的にはAコースでも充分に満足出来るのだけれど、ここにくるとBコースを頼まずにはいられないのだ。

この日のオードブル盛り合わせはラタトゥイユ、蛸とオリーブのマリネ南仏風、ポークリエットサラダ仕立て。

どれも美味しいけれど、特にリエットはお酒が恋しくなる味。
しかし現在はコロナ禍によりランチのアルコール提供はお休みとなっており、今回はそれだけが残念。

絶対に美味しいだろうと追加した冷製サツマイモのクリームスープ。

期待を裏切らず濃厚でとろりと甘く、でもしつこくないという大好きな味わい。

メイン一皿目はメヌケのロースト、バルサミコソース。

サンセリテを好きな理由の一つに魚料理の美味しさがあって、焼き加減の妙が個人的にストライク。
付け合わせのほうれん草もクリーミーで、白身魚とバルサミコによく合っていた。

メイン二皿目は牛のマスタードソース。

マスタードソースはメジャーだけれど、お店によって少しずつ味わいが違い、それぞれの美味しさがあって面白いなと思う。

そして最後はデザートの盛り合わせ。
自家製プリンに葡萄のソルベ、抹茶のパウンドケーキ、マスカルポーネムースのエスプレッソソース添え。

私はこの「デザート盛り合わせ」というものに弱くて、見かけると頼んでしまう。
この「ちょっとずつたくさん」がいいのだ。
これにパンとドリンクつきで2960円なので、かなり満足度の高いランチだと思う。
ただメイン二種でボリュームもかなりのもの。
絶対にお腹を空かせて行こう。

古民家を改装した可愛い造りで、カウンターメインのこぢんまりとしたお店なのでランチもディナーも予約必須。
 
 

みんな大好き根津神社

お腹を満たしたところで久しぶりの根津神社。

この鳥居を見る度に、ロケハンでこの辺りをぐるぐる歩き回ったことや、彼等を書いていた時のことが鮮やかに浮かぶ。
特にここは全てのルートで出ましたからね。
夏の昼下がり、境内のベンチに座って聞く蝉時雨が懐かしい。
大正30年の夏祭りも、きっと大切な人と共に来ているはず。

躑躅の苑は一面の緑。
ゲームの舞台は夏だったけれど、四月~五月の躑躅の時期の美しさは圧巻なのでその頃にも是非。

神社近くのこのお店、情緒があって大好きなので末永く残って欲しい。

 
 

芋甚のアイス最中

神社前の横断歩道を渡り少し歩くと、芋甚が見える。
夏に根津神社に来たら、やはりここにも立ち寄らなければ。

1910年創業のアイスクリームはあっさりしていて軽いおやつにぴったり。
注文すると、ぱりっぱりの最中にその場で挟んでくれる。
私は小倉味が好み。


 
 

水月ホテル鴎外荘

根津から五分ほど歩くと、今夜の宿である水月ホテル鴎外荘に到着。

鴎外荘の立地は分かりやすく説明すると「上野動物園の横」で間違いないのだが、JR・京成上野駅からはそこそこ歩く。
実は距離だけでいえば根津駅が一番近い。

コロナにより様々な影響が出て、残念ながらこの鴎外荘も昨年一度閉館した。
しかしクラウドファンディングを経て、今年の五月からまた再開されたのだ。
私も存在こそ知ってはいたものの「都内だからそのうち泊まろう」などと考えて一度も訪れたことはなく、閉館の報せを聞いた時には強く強く後悔した。
だからこそ営業再開は本当に嬉しかったし、絶対に早く泊まりに行こうと思っていた。
シングルの部屋はこんな感じ。

荷物を置いて一休みした後、敷地内にある鴎外旧居を案内していただいた。

ここが「舞姫」を執筆したという「舞姫の間」。
美しい欄間は当時のまま。

奥の蔵は改装され、現在は貸し切りの食事向け個室となっている。


 
 
とっぷりと陽も暮れたところで、お待ちかねの天然温泉へ。

鴎外荘の温泉は、都内第一号に認定された歴史あるお湯。
重炭酸ソーダ泉のさらりとした手触りで、いつまででも入っていられる快さ。

実は宿泊した日、私以外の女性客を見ることがなく完全独占状態であった。

1650円で日帰り入浴も受け付けているが、現在は公式サイトで宿泊予約をするとシングルでも素泊まり4840円から、ツインなら一人3712円から宿泊が可能。
鴎外旧居の見学は500円、これも宿泊客は無料。
この立地でこの天然温泉、もう泊まった方がお得!(私の中の計算では)

鍵付きのロッカー、アメニティも完備。

全力でお湯を楽しんで、夜の鴎外旧居をまた少し覗く。

いいお湯に浸かり、レトロ建築も眺めて幸せな気持ちで部屋へ戻るべくフロントの前を通りがかったところ、麦茶を出していただけた。

今回、鴎外荘に初めて泊まった一番の感想はとにかく「接客が丁寧」ということ。
五つ星ホテルから民宿まで色々と宿泊して、豪華ホテルには豪華ホテルの、民宿には民宿の良さがあると思っている。
華麗なおもてなしも、ほったらかしも良い。
今回は4840円でここまでして下さって、逆に申し訳ないくらいだ。
チェックインの時にもやはり氷入りの麦茶が出て、ホテルお手製根津のご飯屋さんマップも渡して下さって、「お弁当を買ってこられましたら温めます」と言って下さって、旧居も案内して下さって、天然温泉に向かう時もお風呂の前まで案内して下さって、とにかく全方向に丁寧なのだ。
素泊まり4840円の客など、鍵を渡して終了でも全く問題ないのに。
鴎外荘のレビューをざっと見た時に確かにあった、ありました「接客が丁寧」というものが。
それが今も尚、変わっていないことが素晴らしいと思う。
ネットを見ると「閉館したまま」と思い込んでいる方も散見される。
天然温泉独り占めは嬉しいのだけれども、こうしてまた扉を開けてお客様を待っているのだ。
是非是非、鴎外荘へ泊まりに行ってみて欲しい。

ごく一部の方に向けてだけれども、夏に泊まって早朝に不忍池まで散歩すれば、満開の蓮が見られると思う。
あの日の彼等のように。

夕食に関しては、個人的にテイクアウト推奨。
ちなみに私の場合この日は昼食が大ボリュームだったため、夜まで全くお腹が空かず夕食はなし。
 
 
 
……と、ここまで書いて鴎外荘のサイトを訪れたところ、2021年10月15日をもって閉館のお知らせが出ていた。

辛い。
また一つ素敵な場所が消えてしまった。
幸いにして鴎外旧居は何処かに移築復元されるようだが、丁寧にもてなして下さったホテル従業員の皆さんにもう会えないことが辛い。
私はきっとこれからも色々な場所へ旅して色々な場所に泊まると思うけれど、水月ホテルの接客は忘れない。
素晴らしい接客を有難うございました。
 
 
 
水月ホテル鴎外荘を偲びながら旅行記二日目に続く。
[ 【旅】旧岩崎邸庭園と水月ホテル鴎外荘【上野】 ]TRIP, , , , , 2021/09/20 20:35